死人憑(しびとつき)
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因幡の岩美郡のとある村で百姓が病死した。
僧が来るまで待っていると、死んだはずの男が突然立ち上がった。
何事かと思い取り押さえたが、その力は男二三人を引きずるほどの怪力であった。
男は酒を飲み飯を喰らい、昼夜眠らなかった。
季節が夏であったために、数日すると男は酷い死臭を放ち、目や口から汁を垂れ流した。
憑き物であると思った家族は祈祷したが効果はなく、男を家の中に閉じ込めて、自分たちは他の家に移り住んだ。
酒や食い物を求め死人は喚き散らしたが、次の日には動かなくなったので憑き物は落ちたと、慌てて葬ったという。
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